今まで、バッグの持ち手は丸籐を使っていました。
それを竹でやってみたものです。
以前から、籐の入手の不安定性が高まったことより、竹での代替を模索しておりましたが、今回は丸籐の代替に成功できました!
もちろん、当初は籐が入手できなくなった時の保険として考えたものであり、籐を使わなくなるわけでもないし、逆に籐がなくなるまで、竹では行わないというわけでもありません。
現在では、どちらでも好みの方をお選びいただける、ということになります。
こちらが、従来の丸籐の持ち手。(※まっすぐに撮れていないのは申し訳ないです)
次が竹で作ったもの。
(こっちもちょっと歪んでた…。ご覧の通り、両方とも塀の上に乗せて持ち手が立った状態で何とか撮ったので、精密に撮るというところまで気が回りませんでした、という言い訳)
こんな感じで寸法や造りも同じになるように作りました。造りの自由度は竹の方が高いのでこの形でなくても、丸籐でできないような形も含めて様々な形ができそうです。ちなみに籐よりも持つところの膨らみが無く、真っすぐのように見えますが、綺麗なUの字になるようにあえてしてみたので、膨らみをつけることもできます。
コスト的には竹で作った方が多少、手間がかかることとなりましたが、相当な差があるわけではないので良かったです。
ちなみに、入手の不安定性に対する対策として、竹による代替を考えておりましたが、それ以外の対策として備蓄も行っております。先日も十数万くらい購入しましたので、一年分くらいはあるかと思います!
~籐のお話~
以前、このブログでも書いたことですが、籐の代替は簡単ではありません。今まで色々な植物性のもの(蔓、草など)を考慮してきましたが、「入手安定性」、「材料としての使いやすさや汎用性」、「商品としたときの手触りや質感、使いやすさや耐久性」、など総合的に籐よりも優れたものはありません。
1)入手安定性:私個人でさえ、丸籐・皮籐を仕事で年間、10kg以上使うので、他のものはなかなか難しいです。
2)使いやすさ・汎用性:柔らかく、加工しやすい籐は色んな使い方ができます。
3)商品として:薄くできるので作品の邪魔にならず、手触りも不快感無く、乾燥しても時間が経っても形質はほとんど変化せず、色合いも竹と調和がとれています。薄い割には皮籐は強度もあります。
これらを全て上回る材料はなかなか見つけれませんでしたが、一番の候補となるのが「竹」でした。入手はもちろん籐よりも安定しており、加工も慣れているので使いやすい。
問題は薄くして使うときの皮籐に対する代替で、竹は籐に比べて硬く、特に節で折れやすい一面があります。
もちろんこの硬さの差は一長一短であるので、”籐に対する代替“という位置づけではなく、”新しい作品“として確立させたほうがいいかと考えました。
もちろん、すでに青竹細工のようにほぼ竹だけで作る竹製品もあります。しかし、青竹細工で作れるのは一部の作品であり、クラフトやバッグなども含めた全ての編組系竹細工に対してそのまま用いることは難しいです。
実際、皮籐の代わりに竹で縁を巻いたり、結びを行ったりしています。いくつかのデザイン案も考えることができ、皮籐を使わずに作品の大半を作ることはもうすぐで可能になるかと思います(まだ、いくつかの点で課題は残っていますが…)。
まあ今までの竹細工の歴史の中で、世界中に色んな材料があるのにも関わらず(籐は熱帯産)、籐が使われてきたことを顧みれば、籐に勝る材料がないのも当たり前かと思います。
結局、可能な限りは「籐」でも「竹」でもできるように双方の用意を可能にしておくように尽力したいと思います。
「アトリエ 竹日和」
竹工芸師 西原悟志
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