第62回は見た目はよくある形なのですが、新しい試みを含む作品になっております。
この形は以前は「できない」としていたのですが(構造的に困難)、ある工夫を施すことによって可能になりました!
かごの造り自体は「菊底編みの飛びござ目のバスケット」。
この写真では少しわかりにくいかもしれないですが、
こうすると、持ち手が可動式であることがわかると思います。ではなぜこれが今まで行わなかったのか、というと、本来このタイプの可動手竹は縁が四角系のかごに取り付けていました。
詳しく説明します。
まず、手竹をかごと固定するときには通常の場合、
①「縁に対して手竹は水平的に接していなければならない(ぴったりと引っ付く感じ)」
という造りになります(可動手の場合でも基本的に同じ)
そして手竹なので手前と奥川で二点を縁と接続しなければならないのですが、可動手のときは可動させるため
②「手竹は縁と接する二つの接地面同士が平行でなければならない」
のです(文章ではわかりにくいですね…気になる方はまた教室時にでも聞いてください!)。
さらに
③「可動手の場合には必ず2本手にしなければならない」
これは1本手では手竹が動くため、かごが揺れて、重心に位置によっては傾いてしまうことになるためです。
そうなると縁が円形のときには、①と②と③が同時に満たせなくなるのです。ですので今までのやり方そのままでは円形の縁に可動手をつけることはできなくなります。
ところが今回の作品では少し工夫することによって、縁が丸型でも可動の手竹をつけることができるようになりました!これはこの作品をつくっていただいた受講生も熟練の方で、希望もあったので私としても挑戦してみた次第です!今後は丸い縁でも可動手を取り付けることができます(Π型or逆U字型)。
教室では、日々このように私の技術も磨かれ、できることが増えていっております。しかもこういった進歩はたまに起きることではなくかなり頻繁に起こっております。これは教室をやっている影響です。教室を運営していることで私もかなり技術的に向上することができています!受講者皆様に本当に感謝しております。
※また、今回のできることになったことと似たようなことで、蝶番やパッチン錠などの平たい金具も丸型の縁に付けれるようになっています!これは今回の可動手の件とは別の工夫ですが、これは別の依頼された商品の実現のために考えました。
このように自分自身の力で解決案を暗中模索で試行錯誤して見出す、こういったこともこの仕事の醍醐味だと思います。